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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻2号

1964年05月発行

文献概要

話題

PREDIABETESをめぐる問題

著者: 片岡邦三1

所属機関: 1慶大内科

ページ範囲:P.309 - P.309

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 現在糖尿病を発見するもっとも鋭敏で確実な手段はブドウ糖負荷試験のほかに見あたらない。糖尿病はインシュリン活性の不全またはインシュリン欠乏にもとつく異常代謝状態であり,遺伝的素因の濃厚な疾患である。しばしば蛋白,脂肪代謝異常,肥満症,血管障害,神経障害を合併し,ときにはこれらのいくつかが糖代謝異常と同時に,または先行してみられることが実験的,臨床的に知られている。もしこれらの変化が糖尿病の発展過程に必然的な要素であるなら,糖代謝異常を発見する以前に糖尿病を知るなんらかの生化学的,免疫学的,病理学的探索方法はないものであろうか。
 近年Prediabetes,Prediabetic state,Prediabetic periodという概念について活溌な論議がおこなわれている。Prediabetesとは巨大児を分娩した母親が将来糖尿病発症率の高いことから,そのような人々の妊娠から糖尿病発症までの期間を呼んで新しくつくられた言葉であって,この考え方を敷衍すると糖尿病発症予定者に該当するものは,巨大児分娩の母親のみならず,胎児が出生前後に死亡した母親(Erythroblastosisがなく巨大膵ラ氏島を証明すれば確実),さらには糖尿病家系に属する人びとがあげられ,後者の場合,糖尿病素因を担って生れた個体の出生後から糖尿病発症までの期間をPrediabetesという。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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