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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻3号

1964年06月発行

治療のポイント

高コレステロール血症の食餌指導

著者: 松木駿1

所属機関: 1慶大内科

ページ範囲:P.383 - P.385

文献概要

診断的考察
 臨床的に高コレステロール血がみられる場合は,まずネフローゼ,糖尿病,甲状腺機能低下,閉塞Z黄疸などの存在を考慮すべきである。それらの場合は原疾患の治療が直ちに高コレステロール血の治療になるからである。ネフローゼでは血清蛋白濃度の低いほどコレステロール値が高い。糖尿病のコントロールが悪ければコレステロール値は高くなり得るわけであるが,もう一つ患者の栄養状態にも関係するから注意を要する。肥満症,糖尿病は軽症でもコレステロール値が高いことがあり,やせ型糖尿病は昏睡でもコレステロール値がそれほど高くないことがあり得る。原発性粘液水腫では甲状腺剤投与によつて高コレステロール血が著しく改善されることが逆に診断根拠となるとされている。下垂体性粘液水腫ではコレステロール値が高くないことの方が多い。閉塞性黄疸は初期にはコレステロール値が高いが,やがて合成障害によつて低くなるから,コレステロール値が高くなくても閉塞性黄疸を否定することはできない。
 以上の疾患が除外されてコレステロール値が高い場合は,肥満か動物性脂肪摂取の多いことが問題となる。高コレステロール血症はその状態を持続することが望ましくないから,食餌指導によつて改善できればその意義は大きい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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