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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻4号

1964年07月発行

文献概要

メディチーナジャーナル 消化器

門脈圧について

著者: 井上十四郎1

所属機関: 1慈恵医大高橋内科

ページ範囲:P.623 - P.623

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 門脈は胃・腸管・脾臓などから血液を受けいれ,肝臓の血流量の大半65〜80%を供給し,その機能(代謝,解毒,排泄その他)をいとなむうえに大きな役割を演じている。したがつて肝疾患の場合肝門脈循環の状態を知ることは臨床上重要なことである。最近,肝循環の研究が急速に発展し,肝血流量,短絡血流量,門脈圧,門脈循環時間などの測定が行なわれているが,そのうち門脈圧をとりあげ,簡単にその概略を述べることにする。
 従来,人の門脈圧は手術時,直接測定する以外には知る方法がなく,多くは外科医により開腹時に直接門脈圧を測定して肝硬変症や門脈閉塞症でその上昇が観察されている。正常値は60〜200mmH20で,200mmH20以上の圧を示すときは門脈高血圧の診断をつけてさしつかえないといわれる。近年,肝静脈カテーテルを肝静脈に閉塞させて測る閉塞肝静脈圧は,一部の門脈閉塞症をのぞき門脈圧に近似することから臨床的に広く応用されている。また1956年Demlingらは直腸上部の粘膜を圧迫虚血することによつて直腸毛細管圧を測定しているが,教室でもその装置を改良し,正常人95〜130mmH20,肝硬変症140〜340mmH2Oの値を得,臨床的に門脈圧を推測しうる方法として報告してきた。このほか,脾穿刺による脾内圧の測定,食道静脈瘤内圧の測定などが行なわれている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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