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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻4号

1964年07月発行

文献概要

メディチーナジャーナル 公衆衛生

食習慣,栄養,健康

著者: 鈴木継美1

所属機関: 1東大公衆衛生

ページ範囲:P.625 - P.625

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 いささか三題話めいたテーマで恐縮であるが,栄養が健康の増進,疾病の予防,治療において重要な役割を演ずるものであることは誰しも認めるところである。しかし,人は栄養学的にみて合理的な食事をとるとはかぎらない。現実の場において,人は栄養素を摂取することに専心するのではなく,食事をとることになんらかの楽しみを求めているといつたほうがよい。この前の大戦のナチス・ドイツの強制収容所において,もつとも残酷な刑罰の一つとして,1回分の食物を全部一まとめにしてすりつぶしてだんごとして与えるという方法がとられたこともそれを裏書きしている。
 慢性病患者の療養指導をやつた人なら誰でも気づくことだが,塩分を減らした食事,動物性脂肪を減らした食事をとりなさいといつても,病状がかるく自覚的に大したことがない場合には,なかなか実行されない。その逆に長年にわたる糖尿病者で糖分を制限された食事になれた人ならば何の苦痛もなくそれを楽しむことができる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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