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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻5号

1964年08月発行

文献概要

グラフ

FTAテスト

著者: 水岡慶二1

所属機関: 1東大血清学教室

ページ範囲:P.660 - P.662

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 Cardiolipin抗原による梅毒血清反応では,梅毒でない場合にも反応が陽性になることがしばしばある。このような非特異的陽性反応を生物学的偽陽性反応(biological false positive reaction,略してBFP)と呼ぶが,かかるBFPを無症状の梅毒と鑑別するためには梅毒病原体Treponema pallidum(TP)を使つた特異度のたかい反応にたよらなければならない。
 ここに紹介したFTAテストはこの目的のために考案された方法であり,現在各分野でひろく応用されている螢光抗体法の間接法を応用した反応である。この反応では抗原にNichols株TPを用いて患者血清中のTPに対する抗体を検出するわけであるから,Cardiolipin抗原による反応よりも当然特異度がたかい。それに鋭敏度もたかく,術式も簡単であるから同じNichols株TPを使うTPIテスト(Nelsonテスト)よりも実用的である。もちろんまだいろいろと検討し,解決すべき点などもあるかと思うが,現在の段階では,血清反応だけで診断する場合に梅毒かBFPかをきめる手段としてはもつともよい方法のように思える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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