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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻5号

1964年08月発行

文献概要

治療のポイント

向精神薬

著者: 金久卓也1 川明1

所属機関: 1鹿児島大第1内科

ページ範囲:P.707 - P.709

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はじめに
 近年つぎつぎに紹介された新しい向精神薬の出現によつて,神経症や心身症患者の治療は非常にやりやすくなつてきた。これらの薬剤を巧みに使用することによつて,大量の眠剤や鎮静剤を投与する必要は少なくなり,患者の意識を清明に保つたままで,その興奮をおさえ,社会的適応を容易にし,さらに心理療法の進行を助成することができ,一方では精神活動の賦活をこころみることも容易となった。しかし,これらの薬物の合理的な投与法について答えることは,現段階ではかならずしも容易ではない。以下代表的な薬剤にっいてながめてみたいと思う。
 向精神薬(psychotropic drug)という言葉は,1957年Gerardによつて提唱された。これらの薬物については種々な分類が行なわれているが,大まかにdepressantとstimulant(antidepressant)の2つに分けることができる。前者はさらに非選択的鎮静剤(狭義の鎮静剤,眠剤,鎮痛剤)と,選択的鎮静剤(抗けいれん剤,抗ヒスタミン剤,トランキライザー)とに分けられ,stimulantには直接的賦活剤とモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAO阻害剤)とがある。ここではトランキライザーとMAO阻害剤について述べることにする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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