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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻5号

1964年08月発行

文献概要

臨床検査の盲点

血中ビリルビンの簡易検査法はどのくらいの意味があるか

著者: 阿部裕1

所属機関: 1阪大中央臨床検査科

ページ範囲:P.715 - P.715

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血清ビリルビン測定の三つの意味
 血中ビリルビンの測定は大体次の3つの意味をもつている。一つは潜在性黄疸の発見,一つは黄疸の区別,もう一つは黄疸の経過を追跡して,その変動より鑑別診断を行ない,また予後を判定する資料をうることである。
 通常臨床症状として黄疸があらわれるのは黄疸指数の値で15以上とされているが,肝,胆道疾患が疑われる場合,たとえ黄疸が出現せず尿中ビリルビンが陰性であつても血中ビリルビンが増量していることがあるから,(潜在性黄疸),これを発見することは重要な意味がある。また,Hijmans van den Bergh法に従つて直接ビリルビン,間接ビリルビンを区別することは,周知のごとく黄疸が溶血性黄疸であるか否かの鑑別に大切である。もちろん尿中ビリルビンの有無,赤血球抵抗試験も併用する。さらに黄疸患者の血中ビリルビンの消長を追跡することによつて,その変動状態で原因を推知出来るし,また疾患の趨勢を判断出来る。しかしこの場合は,検査法の一般原則通り,血中ビリルビン検査のみにたよることなく,異物排泄能検査としてBSP試験,血清膠質反応としてルゴール反応,Gros反応,Kunkel反応,コバルト反応,チモール反応など,その他必要に応じアルカリフオスフアターゼ,コリンエステラーゼ,GPTなどの目的の異なった検査を2,3組合せて施行し,総合判断することが大切である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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