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メディチーナジャーナル 境界領域
高血圧性・動脈硬化性脳出血と脳外科
著者: 中村紀夫1
所属機関: 1東大脳神経外科
ページ範囲:P.782 - P.782
文献購入ページに移動 いわゆる脳卒中は,今日種々の病変によつて起こることが知られている。そしてその大部分は内科医の手で診断され治療されている状態であるが,その中の高血圧性あるいは動脈硬化性脳出血の死亡率は,約50〜60%といわれている。この出血に対して,病変が脳内血腫を主体としたいわゆるspace occupying lesionであるという観点から,1950年代に入つて開頭血腫除去手術がおこなわれ始めた。これまでのところ1957年Guillaume 150例,1959年Mckissock 208例以外はいずれも報告する症例数が約50例ないしそれよりずつと少なく,急性期を経たあとで手術する場合が多いため,予後を改善する上で一般に手術療法と保存療法といずれがより優れているかに返答するには物足りない。
これらの場合,いわゆる特発性あるいは外傷性脳内血腫と異なって,あらかじめ全身疾患を持ち,正常でない血管から出血するのであるから,単に血腫だけに目を奪われていては卒中の治療にならないのは当然である。したがつて脳外科的処置をおこなうに当つては,これまでになされた内科的学識と治療法を知つた上で,脳内血腫のために発生する頭蓋内の病態を把握することが根本である。
これらの場合,いわゆる特発性あるいは外傷性脳内血腫と異なって,あらかじめ全身疾患を持ち,正常でない血管から出血するのであるから,単に血腫だけに目を奪われていては卒中の治療にならないのは当然である。したがつて脳外科的処置をおこなうに当つては,これまでになされた内科的学識と治療法を知つた上で,脳内血腫のために発生する頭蓋内の病態を把握することが根本である。
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