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治療のポイント
いわゆる五十肩の治療
著者: 松本淳1
所属機関: 1東大整形外科
ページ範囲:P.867 - P.869
文献購入ページに移動いわゆる五十肩は,一つの単位疾患ではなく,明らかな起因を証明しにくい,初老期の肩関節制動症なる症候群であると考えられている。諸種の感染性関節炎や,骨折や脱臼などの大きな外傷なども制動症を起こすが,これは経過のうえから理由を明らかにしうるので,それによる制動症は五十肩とはいつていない。五十肩とよばれている肩関節の制動症も,手術所見や剖検所見より,各種の病変が見出だされており,それらの病変の臨床症候もかなり明らかになつている。それらの病変が臨床的に推定されるときは,病名は病変にしたがつてつけられるべきであろう。しかしある期間が経過すると,みな一様に肩関節の有痛性拘縮状態になつて,もとの病変がどんなものであつたかわからなくなつてしまう。そのような状態に対して五十肩の病名がつけられる。
五十肩症候群を起こしうる基礎的病変は,みな肩関節周囲軟組織の退行変性を基盤として発生しており,それらのなかには,tendinitis calcarea(またはpseudobursitis calcarea),rotator cuff損傷,上腕二頭筋長頭腱々鞘炎,烏啄突起炎,粘液嚢炎,肩鎖関節の変形性関節症,頸椎の変形性脊椎症などがある。それぞれについて説明を加えるための紙数のゆとりがないが,それらは痛みより反射性筋攣縮を起こして肩関節を制動し,後にはそのために,真の関節嚢収縮による拘縮状態をひき起こすものである。
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