icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina1巻7号

1964年10月発行

文献概要

メディチーナジャーナル 臨床生理

O2中毒

著者: 鈴木清1

所属機関: 1東京医歯大内科

ページ範囲:P.1100 - P.1100

文献購入ページに移動
 LavoisierがO2を発見してより,これが人間の生命に不可欠であるとして,O2に関して種々の研究業績がある。しかしO2吸入が合理的におこなわれるようになつたのは,動脈血のガス分析が可能になつたからで,O2テント,マスクおよびchemberなどでO2吸入が有効におこなつて来たのは今世紀に入つてからである。その後,われわれの生活がsea levelのみでなく,deep sea diving,flyingとくにspaceまでおよび,常圧で各種疾患にたいしてO2吸入がおこなわれるのみならず,高圧,低圧状態での高圧O2吸入が問題になつてきた。
 1878年Paul Bertが潜函病の論文中にO2中毒を記載したのが始まりとされている。いずれにしても,過剰O2吸入がO2中毒の原因となることがわかつて来た。O2中毒の症状は,神経系では意識障害,けいれん(これはてんかん様),共調運動や注意力の減退,めまい,知覚喪失,危機感,孤独感,視力障害などがあげられる。呼吸器系ではO2吸入のため呼吸中枢の呼吸抑制がおこり,呼吸困難,チアノーゼ,長期間吸入時には気管支肺炎などの気管の過敏症があらわれる。普通0.8〜2気圧O2吸入では呼吸器に対する影響があるが神経系にはそれ以上のO2圧で障害がおこる。またO2中毒は突然発症して死の転帰をとることが特徴とされるので注意が必要である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?