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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻8号

1964年11月発行

文献概要

診断のポイント

下腹部痛

著者: 沢田藤一郎1

所属機関: 1北九州市立小倉病院

ページ範囲:P.1173 - P.1175

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もつとも大事なのは,デファンスの有無
 下腹部の疼痛がある場合に診断にもつとも大事なことは局所の圧痛とデファンスミュスクュレールであると思う。ことにデファンスはごく軽い場合があり,これを発見すれば病竈の見当がつくので,私はいつでもよく注意してこの発見につとめる。人が診断に迷つておるときに軽いがデファンスの所在を発見し,それからすらすらと診断をつけられる場合がかなり多い。この存否,場所を知るためには私はいつも慎重にかまえる。
 患者を仰臥位に寝させ,両膝を十分に立てさせ,そして患者に十分に腹壁を弛緩させる。バンドをはずし,ボタンを全部はずさせる。紐はもちろんよくゆるめさせ,下腹部を全部露出させる。これをいい加減にしていたり,何でもないのに恥しがつて手で邪魔だてするようではうまくゆかない。心を平静にさせて,十分に弛緩させる。腹壁反射の強い人があり,腹壁を堅くして触診がまつたくできなくて困る場合がある。いずれにしても弛緩させた腹壁に検者の手を平らに腹壁を刺激しないように置き,手を移動させてデファンスの有無を検する。右と左,上と下と対照の部と比較して,軽いデファンスでも落とさないように十分に気をつけることが一つの診断のこつである。デファンスがある場所の内部に病竈が潜んでいることが多く,この局所的のデファンスに気がつけば,ほつと安心する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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