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文献詳細

雑誌文献

medicina1巻8号

1964年11月発行

文献概要

メディチーナジャーナル 神経

椎骨,脳底動脈循環不全症

著者: 田崎義昭1

所属機関: 1東邦大内科

ページ範囲:P.1264 - P.1264

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 一過性に出現する脳虚血症状は,古くは脳血管けいれんによるものと考えられていた。
 Denny-Brownら(1951)は本症が閉塞性脳血管疾患と関係があることを報告し,その後脳血管けいれんが原因であるとする説はほとんど支持されなくなつている。Corday(1953)はいろいろな原因で起こつた低血圧で脳神経症状が出現することを実証し,脳血管不全cerebrovascular insufficiencyの概念を提唱した。脳血管不全は一過性脳循環障害によつて起こる脳の局所または全体のhypoxiaあるいはanoxiaによる症状をさしている。一過性の脳循環障害でも,高度である時間以上持続すれば,循環障害が改善されても脳に不可逆的変化を残すことがある。Millikanを中心としたNIHの諮問委員会(1955)により提出された脳血管疾患の分類では,一過性に出現する脳虚血症状を,脳硬塞を伴わない一過性脳虚血としているが,症状は一過性であつても病理的には脳硬塞を伴うこともある。脳血管不全は,その発生機序のみに重点をおいて広義に考えると一過性脳虚血のみでなく,脳の器質的障害による後遺症を示すもの,さらには沖中名誉教授の提唱された心脳卒中のような死の転帰をとるものまで含む。臨床的には,脳血管不全は一過性の脳循環不全により発症し,発作は一過性脳虚血に留るものとして狭義に用いる場合が多い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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