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蜘蛛様血管腫と手掌紅斑
著者: 高橋忠雄1
所属機関: 1慈恵医大内科
ページ範囲:P.1298 - P.1299
文献購入ページに移動 肝臓疾患に見られる皮膚症状としては,いうまでもなく黄疸がもっとも古典的なものであり,黄疸といってもそれぞれの例によってかなり異る色調についても,鑑別診断的な意味づけが行なわれた時代もあった.1940年ごろから,これに加わって,皮膚末梢血行に見られる異常が注目されはじめた。そのひとつは,皮膚ことに頸部,前胸,背部,上肢などに見られる蜘蛛様血管腫(Vascular spiderまたはspider angioma)であり,他は手掌紅斑(Palmar erythemaまたはliver palm)である。このいずれもが,すべての肝疾患に認められるというのでなく,主として慢性肝障害に見られるものであるが,一方肝疾患以外にでもそれときわめて類似したものが見られたりする。したがって,この成因についてもさまざまの説があるが,十分納得させるほどの説はない。
もうひとつ皮膚で見られる症状としては,昔からCaput medusaeの名でよく知られている腹壁静脈の努張がある。これも門脈圧の高さと必ずしも平行しない。かえって腹水の著明な例で,このような副行枝の発達が外からはあまりめだたない例も多い。またこれのみが独立した血管異常として存在し,肝疾患とは関係のないものも稀に遭遇する。しかし,肝硬変の疑いを視診上すでにおくことが出来るという意義は持っている。
もうひとつ皮膚で見られる症状としては,昔からCaput medusaeの名でよく知られている腹壁静脈の努張がある。これも門脈圧の高さと必ずしも平行しない。かえって腹水の著明な例で,このような副行枝の発達が外からはあまりめだたない例も多い。またこれのみが独立した血管異常として存在し,肝疾患とは関係のないものも稀に遭遇する。しかし,肝硬変の疑いを視診上すでにおくことが出来るという意義は持っている。
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