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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻1号

1973年01月発行

文献概要

今月の主題 新鮮脳卒中 成因

脳出血の成因と血腫のなりたち

著者: 吉田洋二1

所属機関: 1群大第2病理

ページ範囲:P.14 - P.15

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脳出血の成因
 血漿性動脈壊死と脳内小動脈瘤 高血圧性脳内出血(脳出血と略)は血漿性動脈壊死(大根田)1)に基づく脳内小動脈瘤(図)の破裂によって生ずる.血漿性動脈壊死は血液成分の動脈壁内浸潤によって,内皮細胞や外膜細胞を除く動脈壁固有の細胞が消失し(中膜筋細胞は本病変が生ずる以前に消失している),内弾性板や壁に増加した膠原線維が膨化,融解した状態をさし,その内膜にはしばしば線維素をはじめとする血漿蛋白が類線維素物質として沈着している(類線維素変性).
 脳出血の直接原因である動脈病変(脳内小動脈瘤の基礎病変)は,わが国においてはおもにAngionekrose,血管壊死(松岡)2),類線維素変性(大根田)3)などと呼ばれてきたが,脳内小動脈瘤にはかならずしも類線維素物質の沈着が認められるとは限らず,むしろ破綻に瀕しているものには類線維素物質はむしろ少なく,見られないこともあり,また本病変の成立過程(後述)から血漿浸潤の重要な役割を考慮すると,血漿性動脈壊死という名称が本病変の実体をより適切に表現しているように思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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