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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻11号

1973年11月発行

文献概要

今月の主題 高血圧とその周辺 高血圧をどう取り扱うか

冠不全時の高血圧をどう取り扱うか

著者: 岸本道太1

所属機関: 1国立東京第一病院・循環器科

ページ範囲:P.1438 - P.1439

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 高血圧症に狭心症,心筋硬塞,また無症状でも心電図ST-T変化,刺激伝導障害,その他の調律異常を示し,冠不全と考えられる例はかなり多い1〜3).高血圧自身が粥状動脈硬化を助長する大きな因子であることを考えると,このことは極めて当然のように思われる.高血圧に合併した狭心症で,血圧を適当なレベルに下げ,調節することによって狭心症発作が消失,またはその回数が減少することはしばしば経験される.しかし,一方において,高血圧症で降圧薬の使いすぎで血圧,とくに最大血圧が過度に下がると,狭心症発作を起こすことがある.最大血圧の低下に伴う心拍出量の減少が冠血流量の減少をもたらすためであろう.また,左室が拡大し,左室拡張期終圧が上昇し,心不全の状態になると冠流血量は抵抗の増大と心拍出量の減少により減少し,冠不全を起こす可能性があり,事実,高血圧で心不全とともに狭心症が起こってくる場合も少なくない.また,心筋硬塞も冠不全の極限として高血圧症では他の疾患より高率に合併する.このように高血圧と冠不全,冠硬化は病理学的にも臨床的にも密接な関係を有しており,高血圧の管理上重要な合併症といえる.高血圧において降圧薬を用いる際にも,適正降圧の問題,また,降圧薬の循環動態,冠血流量に対する作用を充分考慮することが大切な課題となる.このような事柄を前提として冠不全を合併する高血圧の取り扱いについて以下述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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