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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻12号

1973年11月発行

特集 これだけは知っておきたい治療のポイント

I 循環器・高血圧 5.弁膜症をとり扱うときの問題点

弁膜症患者の生活指導

著者: 広沢弘七郎1

所属機関: 1東女医大・心研所

ページ範囲:P.1558 - P.1559

文献概要

 弁膜症の弁の変形は手術でもしない限り治らない.弁の変形による狭窄・逆流の血行力学的負荷は,24時間を通じて心筋等にかかっており,運動などにより更に大きな重荷となる.ある程度以上の重さの狭窄・逆流は心筋肥大→心筋障害を次第に増して,病気を重症化させ,最後には生命の危険を招来するまでになる.どの程度までの逆流や狭窄であれば,適当な節制を守ったとして,その患者のいわゆる天寿まで生命を長びかせ得るかは,今日,何も分ってはいない.言うなれば,定量的には殆んど分らないまま,いつ破綻をおこすか分らないという可能性におびえながら,何となく運動量を規制したり,生活の幅を狭めたりしているのが実情ではないかと思う.言い換えれば,じっと寝て安静にしていれば,心臓に対する負荷という点に関する限り,最も理想的であるが,それでは生きる喜びもないし,経済的にも苦しい.そこで,苦しくなければといった程度の運動量制限で,何となく我慢しているのが,今日の医療の実際ではないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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