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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻12号

1973年11月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい治療のポイント VI 糖尿病・代謝 2.糖尿病合併症の治療

糖尿病性腎症の治療のポイント

著者: 河村真人1 高田武夫1

所属機関: 1慈大第4内科

ページ範囲:P.1768 - P.1769

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 糖尿病性腎症は糖尿病に特有な糸球体病変を示す疾患で,末期には腎不全になるが,初期には臨床症状がなく,腎生検によりはじめて糸球体に変化をみとめるのみのもの,あるいは軽度の蛋白尿のみのものもある.このような腎症に対しては,その進展を防止することが治療のポイントとなる。ネフローゼ症候群を示すもの,腎性高血圧,心不全,あるいは腎不全を呈するものの対策は他の腎疾患の場合と原則的には同一であるが,糖尿病に合併しているということでとくに考慮しなければならない問題が生じている.
 腎症の発症および進展の原因については,遺伝,インスリン以外の内分泌因子,とくに成長ホルモン,あるいは免疫機序などが考えられているが,最も一般的なものはインスリン作用不足によるとする考えであろう.このために糖尿病状態をコントロールすることが従来腎症予防の第一の方法とされてきたが,血糖値を指標とした糖尿病のコントロールが良好な症例にも腎症が合併すること,糖尿病性細小血管症が血糖値の高低よりも血中インスリンが低反応を示す群に発生頻度の高いことから,血糖コントロールの効果に疑問を抱くものもあるが,インスリン作用を正常に近づけるために血糖値を指標としたコントロールがまず必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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