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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻12号

1973年11月発行

特集 これだけは知っておきたい治療のポイント

IX 血液・造血臓器 2.白血病,顆粒球減少症の治療

白血病における出血傾向

著者: 長谷川淳1

所属機関: 1北大第1内科

ページ範囲:P.1896 - P.1897

文献概要

 血液疾患では出血性素因が主因となっている疾患を除外しても,出血傾向が初発症状ないし予後を左右する重要な因子となっている疾患が多く,とくに白血病はその代表的疾患の1つである.入院治療したAMLにおける出血傾向の出現頻度は初発症状では17%と発熱に次ぎ,主訴では25%と最も多く,CMLでは初発症状中23%,主訴中25%を占め最も頻度が高かった1).また日本病理剖検輯報(昭和45年度)によると,全剖検数の3.5%に当たる白血病症例765例中,出血ないし感染以外の原因で死亡した17%を除く635症例中80%の主死因は出血性素因であり,そのうち約20%は出血性素因と感染症との合併症例であった。また出血臓器別では重複記載も含めて,肺24%,消化管19%,脳16%,皮下10%,クモ膜下7%で,その他,腎,心,子宮等であった.以上のことから,白血病における出血傾向は白血病の種類によって頻度(AML:71%,CML:57%)に差異はあるが,初発の主要症状であり,予後を左右する因子であることが理解できる。しかし白血病の出血傾向の発現機序は白血病の種類,病態によって異なるので,それらを適確に把握し,適合した治療を実施することが治療成績を向上させる方法であると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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