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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻12号

1973年11月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい治療のポイント X 腎・泌尿器 1.腎炎とその周辺

急性腎炎の治癒判定

著者: 木下康民1 三浦義昭1

所属機関: 1新潟大第2内科

ページ範囲:P.1928 - P.1929

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 急性腎炎は治りやすく,子供の疾患と考えられ勝ちである.たしかに子供の急性腎炎は成人よりも大変治りやすく,老年者のそれはむしろ予後が大変悪い.また本症は子供に大変多いが,筆者らの教室でこの15年間に30歳以上の人が4名入院しているし,近年,70歳以上の老年者の本症の増加をArieffらは報じているが,筆者の目にふれただけでも数名の報告があり,Dinkelの例は5人中2人が80歳以上である.しかも,Arieffらによると典型的な病像をとらず,最初の診断学的印象は心不全とか感染症である.
 以上のことからも,本症は一般に考えられているほど,簡単に割り切れないし,年齢要因が予後を相当大きく支配している.本症には臨床的にも組織学的にも軽症から重症のものまである.本症には臨床的に治癒したと思われたものが,その後再燃のごとき観を呈してくることがあるので,「治癒」の判定基準は大変むずかしいし,また判定にあっては「近接転帰」,「遠隔転帰」に分けて同一患者を長年月追究していかないと,真の転帰の判断は困難である.外国にはこのような報告が若干みられるが,わが国にはまだ外国の報告に比肩しうるものは見当たらない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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