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特集 これだけは知っておきたい治療のポイント XI 感染症 1.諸種感染症の治療
破傷風の治療と予防
著者: 海老沢功1
所属機関: 1東大医科研内科
ページ範囲:P.1982 - P.1983
文献購入ページに移動概説
破傷風は感染症に属するが,病気の成り立ち,病像,治療の立場から眺めるとむしろ中毒性疾患といってよい.すなわち,この世の中で2番目に強力な毒物である破傷風毒素による中毒のため,全身の横紋筋が硬直ないしけいれんを起こしてくる疾患である.破傷風の治療に抗毒素療法は不可欠であるが,重症例では抗毒素を注射しても症状は悪化し,内科的に用いうる抗けいれん剤では押えられなくなる.麻酔科医の応援が是非必要である.また,たとえ麻酔科医の協力をえても,患者は絶えず頻死の状態にさらされている.その予後は発病後あるいは開口障害が明らかになってから2〜3日の中にきまってしまう.すなわちonsettimeが48時間以内なら,たとえその後5〜6日生きのびても約80%の患者は死亡する.onset timeが3日以上の時は致命率は15%以下にさげられる.
以上の如く治療が非常に難かしく,致命率が高いため,積極的な予防対策に重点をおかれている.予防接種の効果はきわめてよい.
破傷風は感染症に属するが,病気の成り立ち,病像,治療の立場から眺めるとむしろ中毒性疾患といってよい.すなわち,この世の中で2番目に強力な毒物である破傷風毒素による中毒のため,全身の横紋筋が硬直ないしけいれんを起こしてくる疾患である.破傷風の治療に抗毒素療法は不可欠であるが,重症例では抗毒素を注射しても症状は悪化し,内科的に用いうる抗けいれん剤では押えられなくなる.麻酔科医の応援が是非必要である.また,たとえ麻酔科医の協力をえても,患者は絶えず頻死の状態にさらされている.その予後は発病後あるいは開口障害が明らかになってから2〜3日の中にきまってしまう.すなわちonsettimeが48時間以内なら,たとえその後5〜6日生きのびても約80%の患者は死亡する.onset timeが3日以上の時は致命率は15%以下にさげられる.
以上の如く治療が非常に難かしく,致命率が高いため,積極的な予防対策に重点をおかれている.予防接種の効果はきわめてよい.
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