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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻13号

1973年12月発行

文献概要

今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性 総論

老人の心理

著者: 新福尚武1

所属機関: 1慈恵大精神神経科

ページ範囲:P.2036 - P.2039

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 仮に身体に起こる老化現象と精神に起こる老化現象とどちらがより高度に現われるかという問いを発したとすると,研究者によっていろいろの答えがなされるであろうが,その1つは「前者がより顕著に現われる」という答えであろう.筆者の考えもこの方に傾く.というのは,老化は心身すべてにわたる普遍的現象ではあるが,現象として現われたものを問題にすると,精神における老化現象の方が身体における老化現象にくらべてむしろ少ないからである.ということは,精神は加齢にかかわらず,恒常性を保つ傾向が強いということになる.あるいは代償する働きが顕著であるといってよいかもしれない.
 しかし,精神の基礎をなすものには,深刻な老化が漸進的に生じているのであるから,恒常性はどこまでも見かけ上のものであることを知らなければならない.そのため,何らかの外因が急激に加わるときは,その恒常性が破れ,想像もつかない著しい老化現象を露呈することがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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