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文献概要
今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性 老人における非定型的徴候
心筋硬塞
著者: 戸嶋裕徳1
所属機関: 1久留米大第3内科
ページ範囲:P.2048 - P.2049
文献購入ページに移動初発症状の注意点
老人では心筋硬塞の発症は非定型的なものが多く,全く目立たない症状のために見過されてしまうことも少なくない.
たとえば,異常な冷汗だけを主訴にするもの,嘔吐を訴えるものなど思いがけない症状で発症することがある.表はPathyが387例の65歳以上の老人について,心筋硬塞発症時の臨床症状を分析したものである.これによると典型的な胸痛発作は75例19%にすぎず,81%の例は無痛性硬塞ということになる.この頻度は従来の報告(36-61%)に比し著しく少ないが,急死や錯乱の例も含まれているので,これを除外すると無痛性硬塞は約60%となるが,何れにせよ高齢者では典型的な胸痛発作を示すものが少ないことは臨床的に重要なポイントである.
老人では心筋硬塞の発症は非定型的なものが多く,全く目立たない症状のために見過されてしまうことも少なくない.
たとえば,異常な冷汗だけを主訴にするもの,嘔吐を訴えるものなど思いがけない症状で発症することがある.表はPathyが387例の65歳以上の老人について,心筋硬塞発症時の臨床症状を分析したものである.これによると典型的な胸痛発作は75例19%にすぎず,81%の例は無痛性硬塞ということになる.この頻度は従来の報告(36-61%)に比し著しく少ないが,急死や錯乱の例も含まれているので,これを除外すると無痛性硬塞は約60%となるが,何れにせよ高齢者では典型的な胸痛発作を示すものが少ないことは臨床的に重要なポイントである.
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