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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻13号

1973年12月発行

文献概要

今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性 老人によくみられる症状—どう対処するか

夜間せん妄

著者: 稲永和豊1

所属機関: 1久留米大精神神経科

ページ範囲:P.2070 - P.2071

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 夜間に起こるせん妄を夜間せん妄と呼んでいるが,この状態も基本的にはせん妄状態であって,昼間に起こるものとそれが起こる時間帯の違い以外には差異はないように思われる.しかしながら老人においてはとくに夜間にせん妄状態が起こりやすいことはよく知られている.
 何故老人で夜間にせん妄が起こりやすいかは次のように説明される.夜間には明るさや騒音が減少し,もともと知覚機能が低下している老人では,認知能力の低下がますます起こり,一種の知覚遮断がひき起にされる.そのために夜間には幻覚が生じやすく,興奮,精神錯乱,妄想などが起こりやすくなる.認知の能力を低下させるような薬を与えると(たとえば睡眠剤など),夜間の症状を悪化させることがある.これは知覚遮断によるとする説であるが1),一方では脳内における代謝過程そのものも老人では変化していることによると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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