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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻2号

1973年02月発行

文献概要

小児の診察

体温,呼吸,脈拍

著者: 澤田俊一郎1

所属機関: 1茨城県立中央病院小児科

ページ範囲:P.256 - P.257

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正常体温
 小児の正常体温が変動に富むことはよく知られている.測定の方法や測定の条件によって異なるとともに,日差も無視できない.しかし特に研究用の測定を行なう場合を除き,一般臨床的にはさほどの厳密さを要求されないことが多いので,ほぼ常識的な測定方法・条件を決めておけばよいと思われる.欧米では成人は口腔温,小児は直腸温が用いられるが,わが国では腋窩温が普通であり,これは生活習慣と関連があるので当分このまま用いられるであろう,ただ腋窩温は装着の状態によって誤差が甚だ大きいこと,および時間を要すること(何分計と表示されたものでも約10分を要する)に注意しなければならず,少なくとも診療機関においては,乳児については直腸温を用いることが望ましいと思われる.直腸計を使用する場合は,肛門から3cmの深さに入れ,3-5分の判定で十分である.腋窩温および乳児の直腸温の正常値の1例を別表に示す(表1).
 幼児以下の場合は一応測定条件も考慮しておくべきであろう.哺乳や沐浴の直後を避け,できるだけ安静な状態で測定する必要がある.しかし何といっても検温の目的にそった測定法を選ぶことが最も重要である.たとえば眠っている乳児の体温がほぼ正常であるか否かは,襟首(後頸部皮膚と肌着の間)に体温計を挿入するだけで足りるのである.平静に眠っていられる乳児に対し,無理に起こしてまで正確な検温を必要とするほどの疾患があるとは思われない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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