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今月の主題 内科領域における輸液と輸血 輸液剤の正しい使い方
栄養補給のための輸液—高カロリー静脈栄養
著者: 林四郎1
所属機関: 1信州大・外科
ページ範囲:P.304 - P.305
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栄養を摂取する方法としては経口的な摂取が本筋であり,いかなる条件下でもこの経口的栄養摂取をはかる努力を払うべきであるが,いろいろな疾患や術後のように,食物の摂取量が不足している場合や,摂取できても消化・吸収が障害されている場合には,避腸的,すなわち経静脈的な方法によらざるを得ない,現在のように糖質,アミノ酸,脂肪のいずれをも静脈内に注入できる段階となっても,経静脈的栄養補給には栄養学的効率からみて,いくつかの条件,すなわち各栄養素の間でバランスがとられ,しかも総カロリーも十分であることなどが満足されなければならない.
最近まで静脈内注入による栄養補給で,生体に必要な栄養量を十分に補なうことが不可能に近かったことも事実で,筆者自身1)も10年以上前に共同研究者の玉熊と,ゴマ油を原料とした静注用脂肪乳剤の使用量を1g/体重kgにまで増し,糖質・アミノ酸製剤と併用して,ある程度の効果をあげることができたが,それでも1日の補給カロリーは1000Cal前後であった.ところが1967年ごろから新しい経静脈的栄養補給法が開発され,完全静脈内栄養輸液,あるいは経静脈高カロリー栄養補給と呼ばれて,深い関心が注がれている.
栄養を摂取する方法としては経口的な摂取が本筋であり,いかなる条件下でもこの経口的栄養摂取をはかる努力を払うべきであるが,いろいろな疾患や術後のように,食物の摂取量が不足している場合や,摂取できても消化・吸収が障害されている場合には,避腸的,すなわち経静脈的な方法によらざるを得ない,現在のように糖質,アミノ酸,脂肪のいずれをも静脈内に注入できる段階となっても,経静脈的栄養補給には栄養学的効率からみて,いくつかの条件,すなわち各栄養素の間でバランスがとられ,しかも総カロリーも十分であることなどが満足されなければならない.
最近まで静脈内注入による栄養補給で,生体に必要な栄養量を十分に補なうことが不可能に近かったことも事実で,筆者自身1)も10年以上前に共同研究者の玉熊と,ゴマ油を原料とした静注用脂肪乳剤の使用量を1g/体重kgにまで増し,糖質・アミノ酸製剤と併用して,ある程度の効果をあげることができたが,それでも1日の補給カロリーは1000Cal前後であった.ところが1967年ごろから新しい経静脈的栄養補給法が開発され,完全静脈内栄養輸液,あるいは経静脈高カロリー栄養補給と呼ばれて,深い関心が注がれている.
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