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文献概要
今月の主題 内科領域における輸液と輸血 血液製剤の正しい使い方
低蛋白血症の補給療法
著者: 和田武雄1 赤保内良和1
所属機関: 1札幌医大・第1内科
ページ範囲:P.310 - P.311
文献購入ページに移動低蛋白血症の病態
輸液療法のねらいとして,まずその根底にあるものを考えると,血漿蛋白の生理的変動はその合成,崩壊,体内分布および体外への漏出という4つの因子によって規定され,動的平衡を保ちながら体内のhomeostasis保持にあずかるから,これらの因子のいずれかの変化によって低蛋白血症が発症する.肝においてはalbumin(以下alb.),fibrinogenのすべてと約80%のglobulin(以下g1ob.)が生産され,免疫glob.は網内系細胞でつくられるが,異化作用は主として腎・消化管・皮膚・筋肉などにおいて営まれているから,低蛋白血症はこれらの臓器病変に応じて成立する(表1).
また低蛋白血症は主としてalb.の減少によるからalb.本来の生理作用である膠滲圧の維持に変化を生ずる.つまりalb.1g/dlは6.0mmHgの浸透圧をもつから(glob.のそれは1.5mmHg),組織から毛細管への円滑な水分還流に必要な浸透圧20mmHg以上を保つためにはalb.濃度としては3g/dl(総蛋白濃度は5g/dl)以上を要し,2.5g/dl以下では浮腫の発生を招く.なおその他蛋白代謝素材や担送蛋白としての役割にも変化を生ずる.
輸液療法のねらいとして,まずその根底にあるものを考えると,血漿蛋白の生理的変動はその合成,崩壊,体内分布および体外への漏出という4つの因子によって規定され,動的平衡を保ちながら体内のhomeostasis保持にあずかるから,これらの因子のいずれかの変化によって低蛋白血症が発症する.肝においてはalbumin(以下alb.),fibrinogenのすべてと約80%のglobulin(以下g1ob.)が生産され,免疫glob.は網内系細胞でつくられるが,異化作用は主として腎・消化管・皮膚・筋肉などにおいて営まれているから,低蛋白血症はこれらの臓器病変に応じて成立する(表1).
また低蛋白血症は主としてalb.の減少によるからalb.本来の生理作用である膠滲圧の維持に変化を生ずる.つまりalb.1g/dlは6.0mmHgの浸透圧をもつから(glob.のそれは1.5mmHg),組織から毛細管への円滑な水分還流に必要な浸透圧20mmHg以上を保つためにはalb.濃度としては3g/dl(総蛋白濃度は5g/dl)以上を要し,2.5g/dl以下では浮腫の発生を招く.なおその他蛋白代謝素材や担送蛋白としての役割にも変化を生ずる.
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