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文献概要
今月の主題 内科最近の話題 糖尿病
インスリン分泌と糖尿病
著者: 羽倉稜子1
所属機関: 1朝日生命成人病研究所
ページ範囲:P.458 - P.459
文献購入ページに移動インスリン発見以来50年の歳月が経過したが,最近10年間におけるインスリン研究の進展にはめざましいものがある.第1に免疫学的測定法の開発は,基礎的な生理生化学的な立場からのインスリン分泌機序の解明に,また人における血中インスリン動態の解明に重要な鍵を与えた.第2にインスリンはβ細胞内でプロインスリンとして合成され,次いでA鎖,B鎖を結合しているC-peptideが離れてactiveなインスリンとなるという発見は,単に糖尿病学におけるトピックであるばかりでなく,蛋白合成化学の分野においても特筆さるべき偉業であった.ヒト血液中にも,プロィンスリン,C-peptideの存在が示され,最近はグルコース負荷後のインスリンとプロインスリンの比率の推移を追求した興味ある知見が報告されている.プロインスリンの測定にまだ問題を残すとしても,今後この方面の研究が,糖尿病の病態究明に大きな役割を果たすであろうことは想像に難くない.
ここでは,本誌の求めに応じ,インスリン分泌と糖尿病について,これまで私どもが検討してきた血中インスリンの成績を中心に2,3述べてみたい.
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