文献詳細
今月の主題 内科最近の話題
神経・筋疾患
文献概要
脳水腫または水頭症(hydrocephalus)は,一般的に"髄液圧の亢進を伴う脳室の異常拡大"と解されており,脳室系に閉塞があり,それが原因となっている場合(閉塞性または非交通性)と,脳室と脊髄くも膜下腔の間には流通障害はなく,くも膜下腔での髄液吸収障害あるいは髄液の生成過多が原因となっているもの(交通性)とに大別される.先天性の,いわゆる福助頭のみでなく,成人にももちろん起こってくるものであり,その場合は,頭は大きくならないが,種々の頭蓋内圧亢進症状,すなわち,頭痛,嘔気,嘔吐,うっ血乳頭を呈するのが普通である.
数年来,表題の"normal pressure hydrocephalus"(以下NPHと略記)といわれる症候群が提唱され,最近,わが国においても急速に経験例の報告が増加し,その成立機転についての基礎的研究も進められている.NPHは,常識的には改善の望みのないような症例が,シャント手術によりまことに劇的な回復を示す点で,極めて重要な症候群であり,しかも時として原因疾患が全く不明なものがあり,初老期痴呆として放置されるものの中にも,治療効果を期待することのできるNPHが少なからず含まれていることも考えられる.このような意味では,内科医,精神科医にまず理解して欲しい症候群である.
数年来,表題の"normal pressure hydrocephalus"(以下NPHと略記)といわれる症候群が提唱され,最近,わが国においても急速に経験例の報告が増加し,その成立機転についての基礎的研究も進められている.NPHは,常識的には改善の望みのないような症例が,シャント手術によりまことに劇的な回復を示す点で,極めて重要な症候群であり,しかも時として原因疾患が全く不明なものがあり,初老期痴呆として放置されるものの中にも,治療効果を期待することのできるNPHが少なからず含まれていることも考えられる.このような意味では,内科医,精神科医にまず理解して欲しい症候群である.
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