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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻4号

1973年04月発行

文献概要

診療相談室

手掌紅斑

著者: 上野幸久1

所属機関: 1三宿病院

ページ範囲:P.485 - P.485

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質問 手掌紅斑は非常に頻度の高いものと考えますが,はたして,そのほとんどに肝疾患を考えるべきものでしょうか.(札幌市 N・S生)
答 手掌紅斑は慢性肝疾患,とくに肝硬変にかなりの頻度にみられ,蜘蛛状血管腫(Vascular-Spider)とともに肝疾患の皮膚症状のうちの双壁をなしています.手掌紅斑は蜘蛛状血管腫のみられる症例に非常にしばしば認められます.しかも手掌紅斑の程度(ひろがりと赤味の強さ)は肝疾患の重篤度とある程度まで比例し,病状の好転とともに手掌紅斑も漸次うすれて行くのが,しばしばみられます.蜘蛛状血管腫と同様に,手掌紅斑を認めたばあい,その患者が肝疾患,なかでも肝硬変をもっている可能性は大きいのですが,もとよりそれはあくまで診断の手がかりであって決め手にはなりません.すなわち手掌紅斑の存在イコール肝疾患ではないのです.肝疾患以外にも手掌紅斑は,妊婦,非常に高熱の続く疾患あるいは消耗性疾患に少なからず認められ,また健康であっても手掌紅斑を呈する人も稀ではありません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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