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くすり
抗生物質と耐性菌
著者: 深谷一太1
所属機関: 1東大・医科研内科
ページ範囲:P.522 - P.523
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歴史的な回顧はさておき,一般感染症の領域で現段階における抗生物質と耐性菌との関連を考えるとき,まず第一にあげられるのはDKBなる新化学療法剤の登場である.梅沢博士の研究により,カナマイシン(KM)に対する耐性獲得は3′位の水酸基を燐酸エステル化する能力を細菌が保有することにより,抗菌活性を失わしめることに由来することが知られた.そこでKM-Bの3′,4′の水酸基を水素に置換した3′,4′-dideoxy-KM-B(DKB)を作製して検討したところ,KM耐性菌に対して十分感受性を有し,さらに緑膿菌に対しても有効であることが見出された,この事実は,従来出現するにまかせてきた感のあった耐性菌に対して,人間がその機作を利して立ち向い,成功した最初とも考えられ,印象的である.しかしDKBもまた細菌由来の酵素により,アデニル化などの変化をうけて不活化されうることが知られており,なお問題の存在を暗示しているといえよう.
歴史的な回顧はさておき,一般感染症の領域で現段階における抗生物質と耐性菌との関連を考えるとき,まず第一にあげられるのはDKBなる新化学療法剤の登場である.梅沢博士の研究により,カナマイシン(KM)に対する耐性獲得は3′位の水酸基を燐酸エステル化する能力を細菌が保有することにより,抗菌活性を失わしめることに由来することが知られた.そこでKM-Bの3′,4′の水酸基を水素に置換した3′,4′-dideoxy-KM-B(DKB)を作製して検討したところ,KM耐性菌に対して十分感受性を有し,さらに緑膿菌に対しても有効であることが見出された,この事実は,従来出現するにまかせてきた感のあった耐性菌に対して,人間がその機作を利して立ち向い,成功した最初とも考えられ,印象的である.しかしDKBもまた細菌由来の酵素により,アデニル化などの変化をうけて不活化されうることが知られており,なお問題の存在を暗示しているといえよう.
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