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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻5号

1973年05月発行

文献概要

今月の主題 消化管ホルモンの臨床

消化管ホルモンの化学—構造と機能

著者: 松尾裕1

所属機関: 1東大・第3内科

ページ範囲:P.552 - P.555

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化学構造決定の歴史
 消化管ホルモンは,1902年にセクレチン,1905年にガストリンが発見され,ホルモンという名称もこの消化管ホルモンに対して初めて名付けられたのである.しかし,その化学構造が明らかにされたのは,他のホルモンよりもはるかに遅く,約半世紀以上もすぎた1964年以後のことである消化管ホルモンの化学構造決定が非常に遅れた理由は,消化管ホルモンの存在が明らかであっても,形態学的にどこから分泌するのか不明であったことと,消化管ホルモンを抽出精製し,その化学構造を決定する方法が困難であったことによる.1960年代になってペプタイド化学が急速に進歩したことにより1964年ガストリンの化学構造が決定されると,その後は急速に他の消化管ホルモンの化学構造が明らかにされ,1966年にはセクレチンの化学構造が明らかにされ,1967年にはコレチストキニンとパンクレオザイミンの化学構造が明らかにされ,両者が同じものであることが判明し,さらに1971年には胃液分泌抑制物質(エントロガストロン)の化学構造が決定し,1972年には胃運動を亢進し胃内容物の輸送を促進するモチリンの化学構造も決定した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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