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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻7号

1973年07月発行

文献概要

今月の主題 化学療法剤—現状とその使い方 アンケート・私の治療法

進行癌患者の治療中に併発した感染症の治療方針

著者: 坂部孝1

所属機関: 1日大・第3外科

ページ範囲:P.854 - P.855

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進行癌と感染
 切除不能の進行癌に対し制癌化学療法が積極的に行なわれるようになったが,その治療中に合併する感染がしばしば経験され,癌による全身性あるいは局所性の抵抗減弱と,制癌剤による白血球減少,免疫抑制などが関与して,感染が死因に直接関連するような場合も少なくない.固形癌患者のうち最も頻度の高い消化器系の癌症例では,感染の起こる場は大別して次の3つである.すなわち,1)癌巣から連続性にあるいは穿孔などにより,癌巣周囲組織または腹腔,胸腔などの感染,2)癌巣より遠隔の呼吸器系,泌尿器系,肝胆道系などの感染,3)これらの感染巣からの全身感染,である.このような感染の起炎菌のほとんどは消化管,気道あるいは皮膚の常在菌で,健康な状態では病原性の低いいわゆる弱毒菌が重要な役割をはたしていることが少なくない.とくに,癌巣付近では常在菌は多種多様で,胃癌に例をとれば,胃内細菌は潰瘍症例に比し菌の種類および菌数が非常に多く,穿孔などが起これば宿主の条件と相まって重篤な経過をとる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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