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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻7号

1973年07月発行

文献概要

今月の主題 化学療法剤—現状とその使い方 アンケート・私の治療法

白血病患者治療に併発する感染症に対する治療方針

著者: 伊藤宗元1

所属機関: 1国立東京第二病院・内科

ページ範囲:P.856 - P.858

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 白血病,特に急性白血病の治療は近時の抗白血病剤の次々の開発とその多剤併用療法により著しく進歩し,完全寛解はもとより,長期生存例も見られるようになった.現在行なわれている白血病治療は生体内白血病細胞をできるだけ殲滅する方法であり,反面それは正常細胞組織にも障害を与え,生体の感染防禦作用を著しく低下させる.このため顕性,不顕性の体内感染を潜行性に進行させる.一時代前までの本症死因の最も多かったのは出血死,特に脳内出血で,次いで腫瘍死であった.しかし近時の本症死因の半数以上は,白血病治療がある程度効果があらわれ,寛解時の感染症併発によるものである.この感染を如何に克服するかが,近時白血病治療の最も大きな課題である.
 本症感染症の特徴は外部よりの病原菌の侵入というよりも,生体内常在細菌叢を形成している微生物が,生体免疫力の低下とともに病原性を持つことであり,咽頭,気管(支)肺,消化管,尿路,外陰部,皮膚等あらゆる微生物の存在しうる所よりの炎症に始まり,それが致死的感染症へと移行する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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