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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻7号

1973年07月発行

くすり

風邪薬—そのえらび方

著者: 鈴木哲哉1

所属機関: 1実中研・医学研

ページ範囲:P.936 - P.937

文献概要

風邪に医者は不要か
 何年か前のことになるが,店頭販売の風邪薬をのんだ人に事故が続発して,風邪薬が非難のまとになったことがあった.その頃「一部の医師」の意見として,風邪ぐらいの病気なら暖かにして寝ているだけでたくさんだ,現にアメリカやイギリスではそれが正しい治療法になっているんだというようなことが語られたり書かれたりした.暖かにして寝ているだけでは医者の出る幕はないのでまことにみもふたもない話だが,私の調べたところでは,この意見にはちょっとした誤解があるようである.それにしてもいまさらどうしてこんな話を私が持ち出したかというと,ある薬理学者が「風邪薬の効果と副作用」という問題を出したところが,「原因療法はない.暖かにして静かに寝ているように指示する.」といった意味の答えを書いた学生が何パーセントかあったという話を聞いて,さきの「一部の医師」の意見が相当な範囲にまで普及しているのに驚いたからである.
 医学生が薬理の試験で薬の作用について答えるのにさえこのような否定的な解答をするぐらいだから,シロウトの中にはこうした意見がかなりな程度に普及していると考えなくてはなるまい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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