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今月の主題 転換期に立つ検診 検診の未来像
医師,患者関係からみた検診—特に胃集検について
著者: 山形敞一1
所属機関: 1東北大山形内科
ページ範囲:P.970 - P.971
文献購入ページに移動われわれの教室の胃集検グループと宮城県対がん協会とが協力して胃集検を始めたのは昭和35年2月であったが,昭和47年3月までに79万7107人を検査して,11万9200人の精密検査を行ない,胃がん1406人,胃ポリープ1755人,胃潰瘍8678人(ほかに瘢痕6665人),十二指腸潰瘍5994人(ほかに球部変形1万930人),共存潰瘍591人を発見し,主治医と協力してそれぞれ適当な治療と指導を行なってきた.これらのうち,焦点を胃がんだけにしぼって考えてみると,昭和35年以来胃がんの発見率は0.25-0.15%を上下しているが,平均すると0.19%,すなわち大体500人を検診して1人の胃がんが発見されている,さらに予後のきわめて良好な早期胃がんの頻度についてみると,検診を始めた昭和35年の9.76%が最低であるが,それでも大学病院内科で診断し,外科で手術を行なった胃がんの倍以上の好成績だったのである.それ以来10-14%を上下していたが,昭和40年に30%に上昇して以来,常に35%前後であり,ことに昭和44年に入ってから41.4%の好成績を示した.すなわち,検診を受けている場合には胃がん2人のうち1人は予後のきわめて良好な早期胃がんの状態で発見されるということである.
このように,昭和40年より早期胃がんの発見率が急激に良くなったのは,精密検診の段階で,胃内視鏡検査に加えて胃細胞診を併用した結果である.
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