文献詳細
文献概要
洋書紹介
Current Topics in Microbiology and Immunology 56
著者: 渡辺貞1 井口義夫2 山本正孝2
所属機関: 1医科研・アレルギー学研究部 2医科研・生物物理学研究部
ページ範囲:P.1068 - P.1069
文献購入ページに移動本綜説は網羅的よりも,種々の応用実例をあげることに重点をおいたという.初心者が応用を試みようとする時,広範囲に亘る豊富な例が紹介してあるので便利であろう,また,それぞれの分野での最近の綜説がよく引用されていることも特徴であろう.他面,羅列的な記述にならざるをえないため,通読して面白いとは言えないが,止むをえない.
内容は①酵素結合ポリマー,②抗原結合ポリマー,および③抗体結合ポリマーに大別され,①は,膜モデル,細胞化学的モデル,代謝サイクルモデル,タンパク構造研究などからなっているが,ここでは②と③の免疫学的応用を主として紹介する.まず,抗原を結合した抗体の免疫吸着剤(immunoadsorbent)として,carbodiimideを用いたハプテンセルロース吸着剤,とくにbromoacetyl celluloseの用例が多く,benzylpenicilloyl基,T4ファージ,アルブミン,DNPなどに対する抗体精製例,吸着剤を応用した定量微量分析法も紹介されている、その他アガロース,セフアローズをcarrierとした例もみられる.③の抗体を結合した抗原吸着剤としては,bromoacetyl cellulose,p-aminobenzl-cellulose(リウマチ因子,CRPなどの精製),arninocellulose,Porathらのisothiocyanatophenoxylhydroorypropyl-Sephadexなどの用例,CNBr活性化法(血液型物質,DNP-ペプタイドの分離など),さらに不溶化した抗体を特異的吸着剤としたエールリヒ癌特異抗原の精製などが紹介されている.吸着剤としての応用のほか,抗原または抗体の指示薬(indicator)としての,また免疫原性増強法としての応用,affinity chromatographyや核酸研究への応用などについてもふれている. (渡辺)
掲載誌情報