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文献詳細

雑誌文献

medicina10巻9号

1973年09月発行

文献概要

今月の主題 慢性関節リウマチ(RA)の新しいプロフィール 病因論

再び脚光をあびるRAと細菌感染

著者: 青木重久1

所属機関: 1愛知医大・第2病理

ページ範囲:P.1118 - P.1119

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周期性をもったRAの病因論
 慢性関節リウマチ(RA)の原因は,現在なお不明である.しかし,RAの病因は古くから研究されており,歴史をさかのぼって調べてみると,その原因についてのいろいろな学説が,1つの周期性をもって発表されている1)ことに気づく。それは過去約70年間の観察であるが,1896年BannatyneらはRA患者の血液から細菌を分離し,RAが恐らく感染症であろうと述べた.それ以来,多種類の細菌がRA患者から分離され,それらに原因を求め,感染性関節炎という名称が一般に用いられた.また,たとえ関節の病変部から細菌が培養されなくても,そのtoxinが関係するとして,この頃にはRAの感染説が伝説的に主流をなしていた.
 その後,Klingeのリウマチ熱に関する一連の仕事(1929-1934年)は過敏症がRAに関係するのではないかということを示唆した.つづいて,1942年Klempererらによって膠原病という概念が提唱され,RAはエリテマトーデス,結節性動脈周囲炎,その他の疾患とともに,膠原病という疾患群の中に属せしめられた.膠原病の基本的形態的変化は結合組織のフィブリノイド変性である.そこで,この結合組織成分の異常状態がRAのpathogenesisに結びつくのではないかと考えられた.その後,Selye(1150年)のストレスと適応症候群に関する学説が重きをなし,副腎皮質ステロイド療法の発見から,RAにおけるストレスの意義や下垂体副腎皮質系の役割が支持をうるに至った,このようなRAの内分泌学説は,後にコーチゾンが特効薬ではなく,副作用が多く,他にサリチル酸剤など有用な薬剤があるため,しだいに支持を失った.ついで,自己免疫的な考え方が時代を風靡するにおよび,原因不明の疾患がこのような見地から究明されだした。そして,自己免疫の引き金として,感染は重視され,再び,初期の感染や過敏症がRAの病因的因子であるとする見解2)がよみがえってきたのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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