文献詳細
文献概要
今月の主題 手術適応の問題点 手術適応のカレント・トピックス
心筋硬塞
著者: 遠藤真弘1
所属機関: 1東女医大心研
ページ範囲:P.1244 - P.1246
文献購入ページに移動はじめに
医学は長足の進歩を遂げてきたが,老化現象の1つの現われである動脈硬化に基因する虚血性心疾患が問題視されてきた.本症に対する外科療法には,①狭心発作や心筋硬塞移行を防止するための冠血行再建術(主にAorto-coronary bypass),②心筋硬塞後の合併症に対する心室瘤切除,室中隔穿孔部閉鎖,僧帽弁置換術,補助循環などがある.Aorto-coronary bypassを例にとると,全米で年に25,000例もが施行されているが,毎年65万人が本症で死亡する数からすると,"焼石に水"程度で,さらに手術症例の増加が見込まれている.一方,bypass graftの長期予後などの問題もあり,本術式に批判的な意見も出されてきた.わが国での本症の死亡数は増加の一途をたどっているが,幸いにも,まだ年間3万6千人と少なく,この時期に本症に対する外科療法を充分吟味し,正しい適応のもとに,わが国独自の冠動脈外科を発展させるべきである.
医学は長足の進歩を遂げてきたが,老化現象の1つの現われである動脈硬化に基因する虚血性心疾患が問題視されてきた.本症に対する外科療法には,①狭心発作や心筋硬塞移行を防止するための冠血行再建術(主にAorto-coronary bypass),②心筋硬塞後の合併症に対する心室瘤切除,室中隔穿孔部閉鎖,僧帽弁置換術,補助循環などがある.Aorto-coronary bypassを例にとると,全米で年に25,000例もが施行されているが,毎年65万人が本症で死亡する数からすると,"焼石に水"程度で,さらに手術症例の増加が見込まれている.一方,bypass graftの長期予後などの問題もあり,本術式に批判的な意見も出されてきた.わが国での本症の死亡数は増加の一途をたどっているが,幸いにも,まだ年間3万6千人と少なく,この時期に本症に対する外科療法を充分吟味し,正しい適応のもとに,わが国独自の冠動脈外科を発展させるべきである.
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