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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻10号

1974年10月発行

文献概要

今月の主題 手術適応の問題点 他の治療法との関係からみた手術適応

甲状腺機能亢進症

著者: 原田種一1 伊藤國彦2

所属機関: 1川崎医大外科 2伊藤病院

ページ範囲:P.1288 - P.1289

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 現在,甲状腺機能亢進症の治療としては,抗甲状腺剤あるいは無機ヨードによる内科的,放射性ヨードによる放射線科的,甲状腺切除術を行なう外科的の3つの治療法がある.Kocherにより成就された甲状腺切除術は,1943年,Astwoodらによる抗甲状腺剤およびほぼ同時代の放射性ヨードの臨床的応用の発展以来,一般病院では,その技術的困難と相俟つてあまり行なわれなくなったが,専門病院では最も確実な治療である故に,現在もなお積極的に施行されている.そして最近,他の治療法の欠点が次第に明らかとなるにつれて,手術療法は再認識される傾向にある.
 これらの個々の治療法の選択については専門家の間でも意見の一致をみておらず,患者の病状よりも,むしろ患者が訪れた医師の好みが相当大きく影響しているというのが偽らざる実状であろう.もちろん,治療にあたる医師が各自の見解と経験に基づいて特徴のある治療体系を持つのは当然のことである.しかし,各治療法の利害得失,限界を充分に知るべきであり,みだりに自己の方法に固執することは慎しむべきことである.伊藤病院においても,約10年前までは手術第一主義であり,手術の可能性を中心として治療方針をたてていた.しかし,抗甲状腺剤,放射性ヨードが導入され,これらの治療法に習熟し,経験を重ねて以来,一つの治療法に偏ることなく,一定の治療基準に従って治療方針の決定を行なっている.以下,手術適応を中心として,筆者らの治療基準およびその結果について述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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