文献詳細
文献概要
ある地方医の手紙・27
お勝手口の患者
著者: 穴澤咊光1
所属機関: 1穴澤病院
ページ範囲:P.1358 - P.1359
文献購入ページに移動 W先生.
私が郷里に帰って間もないころの話です.近くの,とある村役場の依頼で2回ほど衛生問題講演会の講師をやらされました.公民館の板の間にゴザを敷いて座っている200人ばかりの中年男女を前にして,まず村長殿が前座をつとめ,一席ブチましたが,私を紹介するお世辞にも事欠いて,「穴沢博士は現代の野口英世である……」なんて,とんでもないことをいうので,私はハラハラするやら……,穴があったら入りたいやら…….やおら糞度胸をきめて,演壇に上るなり,聴衆にむかって,まず開口番,大声で,
私が郷里に帰って間もないころの話です.近くの,とある村役場の依頼で2回ほど衛生問題講演会の講師をやらされました.公民館の板の間にゴザを敷いて座っている200人ばかりの中年男女を前にして,まず村長殿が前座をつとめ,一席ブチましたが,私を紹介するお世辞にも事欠いて,「穴沢博士は現代の野口英世である……」なんて,とんでもないことをいうので,私はハラハラするやら……,穴があったら入りたいやら…….やおら糞度胸をきめて,演壇に上るなり,聴衆にむかって,まず開口番,大声で,
掲載誌情報