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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻12号

1974年12月発行

文献概要

今月の主題 喘息の本質から治療まで 公衆衛生の立場からみた喘息

わが国の喘息死の分析

著者: 渡辺斌1

所属機関: 1岩手医大第3内科

ページ範囲:P.1522 - P.1524

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喘息死とその推移
 わが国における喘息死の推移を厚生省人口動態統計よりみると図1のごとくである1).戦後,上昇の傾向にあり,1950年には最高となり,その後漸次低下をみている.Alexander2)は喘息死亡率の変遷を3期に分けている.第1期はおよそ1930年頃までで,アトピー型が主であり,比較的死亡率が高くなかった時期である.第2期はその後の25年の喘息死亡率が増加した時期で,この時期の死亡率の増加は主として感染型が加わったためである.第3期はおよそ1953年以後をいい,喘息死亡は明らかに減少しており,これにはステロイド剤や抗生物質が広く治療に利用されるにいたったためと述べているが,図1をみるとこれはわが国の喘息死の変遷にもほぼあてはまるようである.
 つぎに近年における喘息死亡率の推移を同じく国の統計から,年齢別,男女別に分けてみたのが図2である3).35〜64歳の年齢群の死亡率は男女ともに高いが,全年齢の死亡率とほぼ平行して漸減している.これに反して5〜34歳の年齢群のそれは男女ともに増加の傾向にあり,さらに10〜14歳の年齢群の死亡率は男女ともに近年急激に増加をみている.この高学年の学童期の死亡率の増加はわが国のみではなく,米国,英国,西ヨーロッパ,オーストラリアなどの国々にも共通する現象で,その原因は現在のところ明らかではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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