文献詳細
文献概要
今月の主題 喘息の本質から治療まで 喘息の診断
喘息性気管支炎
著者: 石田尚之1
所属機関: 1慶大小児科
ページ範囲:P.1547 - P.1549
文献購入ページに移動 小児科領域では喘息性気管支炎という診断ないしは考え方が,昔からかなり確かな存在意義を持って定着していた.20年以上も前のことになるが,私共の学生時代には,"気管支喘息と喘息性気管支炎の相違について述べよ"などという試験問題にヤマをかけたものであった.
一方,内科領域では気管支喘息でもない,慢性気管支炎ともいいかねる,喘鳴を伴う上気道疾患に喘息性気管支炎という病名が漠然と一部では使われていたようであるが,この病名がはっきり意識の上で問題になりはじめたのは,大気汚染とその補償問題が起こり,それにかかわる呼吸器疾患が公害認定の対象とされ,この公害病認定の4つの疾患の中に,喘息性気管支炎が入ってきてからのことである.内科領域と小児科領域ではこのように本症に関する歴史的な背景が非常に異なるので,その診断—診断というのはその病気に対する要約と考えられるが—については両者の間に大きな開きがあるようである.診断云々を論ずる前に,この喘息性気管支炎なる疾患自体を認めるべきか,抹殺すべきかという論議がまず展開されるのも上述のような理由からであろう.
一方,内科領域では気管支喘息でもない,慢性気管支炎ともいいかねる,喘鳴を伴う上気道疾患に喘息性気管支炎という病名が漠然と一部では使われていたようであるが,この病名がはっきり意識の上で問題になりはじめたのは,大気汚染とその補償問題が起こり,それにかかわる呼吸器疾患が公害認定の対象とされ,この公害病認定の4つの疾患の中に,喘息性気管支炎が入ってきてからのことである.内科領域と小児科領域ではこのように本症に関する歴史的な背景が非常に異なるので,その診断—診断というのはその病気に対する要約と考えられるが—については両者の間に大きな開きがあるようである.診断云々を論ずる前に,この喘息性気管支炎なる疾患自体を認めるべきか,抹殺すべきかという論議がまず展開されるのも上述のような理由からであろう.
掲載誌情報