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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻12号

1974年12月発行

文献概要

検体の取り扱い方と検査成績

トリオソルブ試験

著者: 熊原雄一1 宮井潔1 畔立子1 沢崎憲夫1

所属機関: 1阪大中検

ページ範囲:P.1610 - P.1611

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測定原理
 甲状腺機能検査法の1つとして,間接的に血中甲状腺ホルモン量を知るdirect saturation analysisが広く普及している.さて甲状腺ホルモンの1つであるthyroxine(T4)は血中でサイロキシン結合タンパク(TBP)と特異的に結合しているが,そのTBPのうちT4と結合していない部分を測定することによって,T4の量を間接的に知るのがdirect saturation analysisである.この原理を利用した測定法として,Triosorb test,Res-O-MatT3,Trilute,Thyopac-3,Charcoat T3,Tritab等のキットが市販されている.
 トリオソルブ試験(Triosorb test)について述べると,まず一定量の血清に131Iで標識したT3131I-T3)Triosorb試薬を加え,次にレジンスポンジを入れ吸着した放射能を測定し,この吸着率を求めたのが,131I-T3 resin sponge uptake値(RT3U値)であるT4の増加があれば,TBP未結合部分は減少しているので,スポンジに吸着する131I-T3が多くなりRT3U値は高値となる.一方,T4が正常でもTBPの減少があれば,同様の結果となる.本法は他の甲状腺機能検査に比べると,PBIのように有機ヨードや大量の無機ヨードにより影響されることもなく,甲状腺131I摂取率のように患者にラジオアイソトープ(RI)を投与しなくともよい有用な検査法である.類似検査のRes-O-Mat T3法はレジンスポンジの代わりにレジン片を用い,レジン片に吸着しない血清中の131I-T3を測定する方法であり,Thyopac-3法はあらかじめレジン顆粒に125I-T3を吸着させておき,125I-T3がこれより離れ血清に結合する割合を測定する方法であり,Trilute法はSephadexG-25カラムにより分離しカラムへの残留を測定する方法である.なおT4増加血清は,Triosorbtest,Triluteでは高値であるが,Res-O-Mat T3やThyopac-3ではレジン片やレジン顆粒に吸着しない血清の131I-T3を測定するため低値となるので注意を要する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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