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今月の主題 酸・塩基平衡異常—その日常臨床とのつながり 病態
酸・塩基平衡と電解質代謝
著者: 横山剛12
所属機関: 1慶大・内科 2警友総合病院・内科
ページ範囲:P.170 - P.171
文献購入ページに移動 酸・塩基平衡と電解質代謝でまず問題になるのは,体液pHと血清K濃度との関係である.Scribnerらの実験的臨床的研究からは,pHと血清K濃度との間には負の相関があり,pH0.1に対し血清Kは約0.5mEq/L変化するというが,個々の例では血清K濃度に関与する因子が複雑であり,かならずしもこの値があてはまるとは限らない.しかし,アシドーシスおよびアルカローシスでは図にみるように,細胞内外でのH+とNa+,K+とのイオン移動が行なわれ,また腎ではNa+の再吸収に関してK+とH+との間に競合があり,アシドーシスでは尿中へのH+排泄増加,K+排泄低下が,アルカローシスではH+排泄低下,K+排泄増加がみられ,この両者によりアシドーシスでは高K血が,アルカローシスでは低K血がみられる.またアシドーシスの際には,細胞内K+はH+と交換して細胞外に移動し,全体K量はアルカローシスと同様低下している場合が多い.したがって,高度のアシドーシスがあって,しかも血清K濃度が正常の場合には,かなりの全体K量の不足があると判断すべきである.このことは代謝性にしろ呼吸性にしろ,アシドーシスからの回復過程でしばしば高度の低K血が出現することからも窺い知ることができる.
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