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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻2号

1974年02月発行

文献概要

今月の主題 酸・塩基平衡異常—その日常臨床とのつながり 腎と酸・塩基平衡異常

慢性透析

著者: 高須照夫12

所属機関: 1慈大 2慈大・第3分院・腎高血圧科

ページ範囲:P.184 - P.185

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はじめに
 健康成人にアルカリ剤を負荷して代謝性アルカロージスを作製しようと試みても,血液pHの上昇は一過性で,しかも軽微である.これはまず細胞内外液中の緩衝機構で中和され,さらに呼吸中枢の抑制で肺からのCO2排泄が減少し,また腎からは重炭酸イオンが尿中に排泄されて,体液の酸塩基平衡がすみやかに正常に復元するように調節機構が作用するからである.また反対に,酸の負荷によっても代謝性アシドーシスはなかなか発現しない.緩衝系による中和と同時に,呼吸中枢は刺戟されて肺からのCO2排泄は増加し,また腎尿細管では炭酸脱水酵素の活性亢進が起こって濾過された重炭酸イオンは完全に再吸収され,滴定酸の尿中排泄量は増加し,また尿細管細胞でのアンモニア産生が亢進して尿中アンモニウムイオン排泄量の増加をみる.かくして,負荷された酸はすみやかに処理されて体液の酸塩基平衡異常は是正される.
 以上のように,われわれの体液の酸塩基平衡は,細胞内外液中の緩衝機構による中和作用,肺からのCO2の排泄量増減,および腎からの重炭酸イオン(HCO3-)または非揮発性酸(nonvolatileacids)の排泄で調節され,体液pHの恒常性が維持されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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