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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻3号

1974年03月発行

文献概要

今月の主題 貧血の現況 貧血の起こりかたと診かた

鉄欠乏性貧血

著者: 宮﨑保1

所属機関: 1東女医大・内科

ページ範囲:P.302 - P.303

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はじめに
 鉄欠乏性貧血は日常の臨床にて遭遇する貧血を主徴とする疾患のうち,最も多いもので,本態性低色素性貧血(萎黄病,胃液欠乏性萎黄貧血),慢性失血性貧血,十二指腸虫症あるいは鉤虫症による貧血,無胃性低色素性貧血,妊娠性低色素性貧血などが含まれ,幼・小児の貧血にも鉄欠乏によるものが多い.本貧血の原因についての究明,診断の確定は鉄治療の絶対適応を決定するにとどまらず,鉄欠乏の原因としての慢性持続性出血を呈している重大な疾患を明らかにし得るし,その予後判定にとってもきわめて重要である.鉄欠乏性貧血は低色素性貧血の主群でもあるが,この逆,すなわち低色素性貧血が全て鉄欠乏性とは限らず,少数ながら鉄利用障害性貧血,サラセミヤ,ピリドキシン欠乏性貧血なども低色素性貧血を呈するから,これに対して十分な検索もせずに鉄欠乏性貧血と速断して鉄剤を安易に投与すると鉄の過剰吸収による臓器鉄沈着が組織障害性に働く可能性も指摘されている,鉄欠乏性貧血は生体の鉄欠乏が最も進行した状態であることから,日常臨床の問題として貧血の認め.られぬ鉄欠乏症の診断こそ早期治療の対象として重要であることを認識する必要がある.かかる見地から鉄欠乏の起こりかたならびにその診断について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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