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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻3号

1974年03月発行

文献概要

今月の主題 貧血の現況 貧血の治療

鉄治療剤の現状

著者: 岡崎通1

所属機関: 1三重大第3内科

ページ範囲:P.318 - P.320

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はじめに
 鉄欠乏性貧血に対する鉄剤の効果は,内科疾患の治療の中で,最も確実なものの1つである.鉄が明らかに臨床的に使用されたのはBlaud(1832)硫酸第一鉄,Stockman(1893)還元鉄の萎黄病の治療に始まる.Blaud丸の1丸は硫酸第一鉄,重炭酸カリウム各々320mg(鉄64mg)を含有し,12丸まで用いられた.鉄治療は両者の優れた成績にもかかわらず,19世紀末には合成は植物界でのみ行なわれ,動物界では崩壊のみが行なわれるとの学説の権威にHbが鉄を素材として体内で合成されるという理論的根拠を失い,鉄治療は疑問視され,使用されても少量で効果は不定であった.鉄が再び脚光を浴びたのは1920年頃から鉄突撃療法として大量の還元鉄,Blaud丸が投与されるようになり,その効果が確実になってからである。鉄突撃療法は10数年前まで用いられてきたが,副作用が多いため1955年頃から硫酸第一鉄や有機鉄がつぎつぎと登場し,また鉄の注射剤も提供されるに至った.以下,鉄剤の現況について言及したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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