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海外だより
中国医療における中西結合について
著者: 陶棣土1 陶易王2
所属機関: 1佐久総合病院胸部外科 2佐久総合病院麻酔科
ページ範囲:P.373 - P.380
文献購入ページに移動最近,中国との交流がひらけるにつれ,ハリ麻酔,聾唖のハリ治療,断肢再値など,中国医学の成果がニュースの波にのってきた.そして,その大部分は中医学(漢方医学)と西洋医学の協力態勢の結果であることが報道されている.一見,異質とも思われる中医学と西洋医学が,どのような基礎の上に,どのようなやり方で合作しているのであろうか.
日本で中世以後,健康をまもり,病気を治療した医療といえるものは,いわゆる漢方医学であった.明治17年,医療法によって,医学の主流からはずされ,同27年,ついに漢方医は独立した医師として認められないことが議会で決定されたあと,漢方医学が科学的根拠のない民間療法といわれながらも,地方,とくに辺鄙な農山村で,民衆によってまもられ,現在まで生きつづけてきたことは衆知のにとである.明治のはじめ,漢方をすてて,西洋医学一本に走った日本医療であるが,中国における中西結合の成果をまえに,もう一度,今後の医学の進路を考える意味で,中国の医療の実際を知っておくことも無駄ではないと思う.
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