文献詳細
文献概要
今月の主題 自己免疫疾患の臨床 自己免疫疾患治療の実際
免疫抑制療法
著者: 螺良英郎1 矢田健太郎1
所属機関: 1徳島大第3内科
ページ範囲:P.726 - P.732
文献購入ページに移動免疫抑制療法のあらまし
結合織病(膠原病)を含む自己免疫疾患群は,厚生省の「いわゆる難病」対策として種々の面からクローズアップされてきている.難病であるということの1つに,治療に抵抗することが挙げられている.これら難病に副腎皮質ステロイド剤(以下ステロイドと略す)が広く用いられ,その効果が時に著効を奏する反面,再発,再燃時に,また遷延化した症例にあっては効果をみない(ステロイド抵抗性とでもいうべきか)こともある.またより大量投与することや,再燃のために長期間にわたってステロイドの投与を続けて,なかなか離脱ができず,それに加えて種々の不快な副作用に悩まされ,時に重篤な副作用にいたることは,しばしば苦い経験として味わっているところである.こうした点からDameshek & Schwarz(1963)らが,抗癌剤のもつ免疫抑制効果を自己免疫性溶血性貧血(AHIA)に利用してみたところ効果をみたので,免疫抑制療法immunosuppressive therapyと称してステロイドに加えて自己免疫病の新しい治療分野を開拓した.
爾来,早くも11年目を迎え,今では多数の経験例が重ねられてきた,ステロイド療法の限界に失望していた者にとって,抗癌剤の系統による免疫抑制療法は,最初は救世主の観もあったが,実際の効果にあっては当初の希望を満たすには程遠い.その反面,6メルカプトプリンの誘導体であるアザチオプリンのごとき免疫抑制剤が開発され,臓器移植における免疫抑制療法に偉力を発揮した.しかし,強力な免疫抑制剤の開発が全くなかったこと,またかかる免疫抑制療法をもってしても,ステロイド剤に代わる臨床効果は得られないばかりか,免疫抑制剤による免疫抑制という副作用が問題となってきつつある.
結合織病(膠原病)を含む自己免疫疾患群は,厚生省の「いわゆる難病」対策として種々の面からクローズアップされてきている.難病であるということの1つに,治療に抵抗することが挙げられている.これら難病に副腎皮質ステロイド剤(以下ステロイドと略す)が広く用いられ,その効果が時に著効を奏する反面,再発,再燃時に,また遷延化した症例にあっては効果をみない(ステロイド抵抗性とでもいうべきか)こともある.またより大量投与することや,再燃のために長期間にわたってステロイドの投与を続けて,なかなか離脱ができず,それに加えて種々の不快な副作用に悩まされ,時に重篤な副作用にいたることは,しばしば苦い経験として味わっているところである.こうした点からDameshek & Schwarz(1963)らが,抗癌剤のもつ免疫抑制効果を自己免疫性溶血性貧血(AHIA)に利用してみたところ効果をみたので,免疫抑制療法immunosuppressive therapyと称してステロイドに加えて自己免疫病の新しい治療分野を開拓した.
爾来,早くも11年目を迎え,今では多数の経験例が重ねられてきた,ステロイド療法の限界に失望していた者にとって,抗癌剤の系統による免疫抑制療法は,最初は救世主の観もあったが,実際の効果にあっては当初の希望を満たすには程遠い.その反面,6メルカプトプリンの誘導体であるアザチオプリンのごとき免疫抑制剤が開発され,臓器移植における免疫抑制療法に偉力を発揮した.しかし,強力な免疫抑制剤の開発が全くなかったこと,またかかる免疫抑制療法をもってしても,ステロイド剤に代わる臨床効果は得られないばかりか,免疫抑制剤による免疫抑制という副作用が問題となってきつつある.
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