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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻6号

1974年06月発行

小児緊急室

咬傷

著者: 羽鳥俊郎1

所属機関: 1済生会中央病院・外科

ページ範囲:P.812 - P.813

文献概要

咬傷に対する一般的処置
 動物の口腔内には多種類の起炎菌が常在しているので,咬傷の処置に当たりその創傷が汚染されているものと考えておくことが妥当である.またその動物に特有な微生物または毒素が存在し,それにより特異的な感染症または中毒症をきたすので,咬傷の状態および受傷時の状況・環境等より加害動物を判断せねばならない.応急処置に際し,創周囲を手術時の皮膚消毒に準じて充分に消毒し,創内を微温滅菌生食水または蒸留水で洗浄して創縁・創底の切除によりdebridementを行なう.時に硝酸銀で焼灼し生食水で中和することもある.原則的には創を開放創とし,一次縫合は受傷後短時間でしかも顔面以外には行なわれずかつ推奨もできない.局所の化膿に続発して所属リンパ管炎・リンパ節炎を伴ったり,全身感染症として重篤な敗血症に至ることもあるので,予防的にも抗生物質療法を行なわねばならない.一般に人獣咬傷では破傷風の合併頻度は極めて少ないが,土壌等により創部が汚染されている例では,一般外傷と同様に破傷風トキソイド0.5〜1mlを皮下注射して予防措置を講じておくことは必要である.
 さらに患者の精神的安静と受傷局所の安静に努め,四肢では副子による良性肢位固定を行なう.また受傷部の出血およびショックに対処し,毒素にはそれぞれの抗毒素血清あるいはワクチン療法を即刻開始する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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